2012年12月31日月曜日

自動車運転に伴う「死傷結果」に対する重罰化に関連して

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このブログ記事の主張は、
平成25年11月20日に可決・成立した
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年十一月二十七日法律第八十六号)
とは趣旨や方法論を異にするものです。
「過失犯」である「自動車運転過失致死事件」に対して「故意犯」の一類型である「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」の適用を求める異常な主張が多くなっています。それには、
悪質な運転者による「自動車運転過失致死罪(刑法211条2項)適用事件」が増加していること

「自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)」の法定刑の上限7年の懲役)と「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」の法定刑の上限15年の懲役)との差が大きく開きすぎていること
とが大きく関係しています。

これらを解消するには、
通常の「自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)」の法定刑と「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」の法定刑との間隙を埋めるよう、 悪質な運転者に対する刑罰を法定する必要があります。

そこで私は、刑法の特別法を制定して
「行政刑罰法規を故意に違反することによって刑法209条から211条までの罪
刑法209条 … 過失傷害罪(30万円以下の罰金又は科料)
刑法210条 … 過失致死罪(50万円以下の罰金)
刑法211条1項 … 業務上過失致死傷罪(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)
刑法211条2項 … 自動車運転過失致死傷罪(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)
を犯した者に対する処断刑を、同種の故意犯の法定刑の上限を超えない範囲で二倍に加重する」
とすることを提案します。

これなら「故意の無免許運転」と「過失による免許不携帯」は区別できます。

具体的には(刑法209条と210条は罰金または科料なのでひとまず置いておくとして)

刑法211条1項 … 業務上過失致死傷罪(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)
刑法211条2項 … 自動車運転過失致死傷罪(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)

の処断刑の上限を決める際の「同種の故意犯」をどう考えるかですが、
業務上過失致死罪および自動車運転過失致死罪を「殺人罪(死刑又は無期若しくは五年以上の懲役)」、
業務上過失致傷罪および自動車運転過失致傷罪を「傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
と(この特別法との関係で)それぞれの過失犯と考えるものとします。

その結果、
道路交通法違反の故意による「自動車運転過失致死傷罪」の上限は「14年以下の懲役若しくは禁錮」
となります。
故意犯類型である「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」との関係では
危険運転致死罪の上限「有期懲役の上限」
危険運転致傷罪の上限「15年の懲役
を超えることはなく、ぎりぎり均衡が保てていると言えます。

2012年10月3日水曜日

刑法に関するオススメ本

オススメの法律本シリーズ。刑法に関するオススメ本です。

■刑法総論

大塚 裕史・著
『刑法総論の思考方法 第4版』
早稲田経営出版 (2012/4)

井田 良・著
『刑法総論の理論構造』
成文堂 (2005/06)

井田 良・著
『講義刑法学・総論』
有斐閣 (2008/12)

井田 良・著
『入門刑法学・総論』 (法学教室ライブラリィ)
有斐閣 (2013/12)

■刑法各論

大塚 裕史・著
『刑法各論の思考方法 第3版』
早稲田経営出版 (2010/12)

井田 良・著
『刑法各論 第2版』(新・論点講義シリーズ 2)
弘文堂 (2013/3)

井田 良・著
『入門刑法学・各論』 (法学教室ライブラリィ)
有斐閣 (2013/12)

大塚 裕史先生の本は本質論から諸説をほぼ対等に解説する本で、
井田 良先生の本は所謂「行為無価値論」(行為無価値・結果無価値二元論)の立場からの本です。
※とりわけ『刑法総論の理論構造は「結果無価値論」(結果無価値一元論)に対してかなり挑発的な批判を展開しています。

2012年9月19日水曜日

「アーミテージ・ナイ報告書3」とCEESA

「アーミテージ・ナイ報告書3」と「経済・エネルギー・安全保障包括的協定(CEESAComprehensive Economic, Energy, and Security Agreement)」に関する資料への暫定リンク集

遅ればせながら、 「アーミテージ・ナイ報告書3」を読んでみます。

■「アーミテージ・ナイ報告書3」
「The US-Japan Alliance: Anchoring Stability in Asia」[PDF]
 http://csis.org/files/publication/120810_Armitage_USJapanAlliance_Web.pdf
※「アーミテージ・ナイ報告書3」の原文

「日米同盟 -アジアの安定」[PDF]
 http://blog.asisai.jp/wp-content/uploads/2012_8csis_repo.pdf
※「アーミテージ・ナイ報告書3」の日本語訳

■関連レポート
「「アーミテージ・ナイ報告書」再考 ~日米同盟の行方を見守るアジア列強~」(BTMU Washington Report - 経済レポート情報)[PDF]
 http://www3.keizaireport.com/file/BTM-WDCINFO2012-No018.pdf

「特集:第3次アーミテージ=ナイ報告書を読む」(溜池通信vol.501)[PDF]
 http://tameike.net/pdfs8/tame501.PDF

2012年9月1日土曜日

「脱原発抗議デモとDHCサプリメントとアサヒスーパードライ」

よく最近の「脱原発抗議デモ」を「ワン・イシュー」だなどと言う。
だが、「ワン・イシュー」というのは本当は
「一つの論点にだけ意識的かつ明確に絞り込む論理思考」
が前提にあるはずだ。
だが、実際には「一つの論点に明確に絞り込む」という作業を意図的にすっ飛ばしているというのが実情のようだ。

そもそも、日本人は肝心なことをよくよく考えて行動するなんてことは苦手で、誰かに刷り込まれた思い込むだけで行動することが多いのではないか?

*   *   *   *

そのことを最初に痛感させられたのは、「ドライ戦争」と呼ばれたアサヒスーパードライをめぐるビールメーカーのシェア争いに始まる「偽ビール競争」だ。
今、発泡酒を第2のビール、所謂「新ジャンル」を第3のビールなどと言っているが、所詮は「偽ビール」である。そして、その「偽ビール」のさきがけがアサヒスーパードライなのだ。

ビール好きにとってはふざけた話ではあるが、まあ逆転の発想という意味ではシェア回復のためには有効な「奇策」なのだ。
要するにこうだ。ビール業界全体の中でアサヒビールはシェアが落ち込みなかなかそれを回復できないでいた。その一方で「とりあえずビール」という言葉があるとおり、ビールというジャンルは一定程度安定した収入が見込める分野でもあった。
そのとき、アサヒビールは他社が思いもつかない方法でシェアを「獲得」しようと考えたのだ。
つまり、「麦芽・ホップと“ビールに適した酵母”を使ってビールの味を追求する」ということをやめたのだ。別の言い方をすれば、
「ちゃんとしたビールが好きな少ないビールファンを取り合うのはやめて、むしろビールが嫌いで乾杯だけビールという残りの層でナンバー1を目指す戦略」
への転換だ。
麦芽とホップにそれ以外の材料を加えるのは他社でもやっていた。アサヒビールの奇策は「ビール不適格酵母」を使ったビールの醸造という点にある。これにより、「ビール不適格酵母」というくらいだから「ビール好きには嫌われる」ことになった。だが、「とりあえずビール」というほどビールにこだわりのない層には浸透した。「麦芽・ホップと“ビールに適した酵母”を使ってビールの味を追求したビール」の販売量は他社に残したまま、「とりあえずビール」というほどビールにこだわりのない層をアサヒビールは取り込むことに成功したわけだ。そして、(「ビールの」シェアではなく)「ビール業界の」シェアナンバー1を獲得したのだ。

「奇策」はさらに続く。「麦芽・ホップと“ビールに適した酵母”を使ってビールの味を追求する」というビール本来の品質には目をつぶり、「鮮度が命」という「本筋以外の品質」をアサヒビールは「発明」してシェアを伸ばした。「麦芽・ホップと“ビールに適した酵母”を使ったビール本来の味」には興味がなくむしろ嫌ってさえいた層にはこれがさらにウケた。これ以降、「税法上のビール」でアサヒは不動の首位を維持し続けている。

市場の大多数から支持されるのには、本質的な品質なんかどうでもいいのである。
「これが品質だ!」というイメージを発明し、偽者でも何でもいいからそれを含めた「業界全体のシェア」を新たに定義しなおしてその中のナンバー1をとればいいのだ。

*   *   *   *

もう一つの恐るべき事例が健康食品、いわゆる「サプリメント」にあった。

「サプリメント」は、一部には摂取方法や摂取パターンに特別な注意を要するものがあるとはいえ、薬品ではなく食品なので消費者も比較的少ない知識で利用可能で、様々な企業が参入しやすい。
とはいえ、本当の「品質評価基準」はあまり知られていない。

たとえば、ビタミンCは「食品から抽出」することもできるが「合成」もできる。そして、どちらも「ビタミンC」ではある。
だが、ビタミンCは、
  • 食品に含まれる場合はビタミンC単体ではなく補酵素として作用する「バイオフラボノイド」(俗に言う「ビタミンP」)が含まれた状態で存在する。
  • ビタミンCは水溶性ビタミンで、摂取後一定時間で対外に排出されるので、そのまま大量に摂取しても使われないうちに捨てられることになる。したがって、それを防ぐためには徐々に体内に摂取される「タイムリリース加工」をすることが必要。
なのである。
つまり、高品質のビタミンCサプリメントというのは、この2つの条件を満たしているのです。

ところが、たとえばテレビCMでDHCは「成分量」と「低価格」がサプリメントの「品質」だ、と言い切っている。「バイオフラボノイド」が含まれない単体のビタミンCが(「タイムリリース加工」もされずに)ただ大量に入っているだけのものを「高品質」と言っているのだ。

ここでも、市場の大多数から支持されるのには本質的な品質なんかどうでもいい、という発想がある。
「これが品質だ!」というイメージを発明し、偽者でも何でもいいから「品質」を新たに定義しなおしてそれを大勢の潜在顧客層に植えつければいいのだ。

*   *   *   *

これら二つの事例は、大衆の無知につけこんで供給側によって一方的に「発明」されたイメージのままに偽の「品質」に踊らされる日本人というものを教えてくれる。

そして、「脱原発抗議デモ」なのである。
「ワン・イシュー」だなどと言っているが、そこに
「一つの論点にだけ意識的かつ明確に絞り込む論理思考」
というものがあるだろうか?
ただ単に誰かによって「発明」されたイメージに踊らされてはいないだろうか?
「脱原発」がもたらす「品質」は明確なのだろうか? 誰かに「発明」された偽の「品質」ではないだろうか?

(未完)

2012年8月24日金曜日

日本の国境領土 領有権関連資料一覧

日本の国境領土 領有権関連資料 の一覧です。
主に、国立国会図書館の調査部門である 調査及び立法考査局 の刊行物『調査と情報 -ISSUE BRIEF-』『レファレンス』『外国の立法』参議院事務局企画調整室編集『立法と調査』に掲載された論文です。 《最終更新:2014/06/28

PDFへのリンクがある論文以外は各自、国会図書館や都立図書館などで閲覧・複写してください。

■尖閣諸島
濱川 今日子「尖閣諸島の領有をめぐる論点 ―日中両国の見解を中心に―」
(国立国会図書館調査及び立法考査局『調査と情報 -ISSUE BRIEF-』No.565, 2007.2.)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0565.pdf

尾崎 重義「尖閣諸島の帰属について(上)」
(国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』259号, 1972.8., pp.30-48)
尾崎 重義「尖閣諸島の帰属について(中)」
(国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』261号, 1972.10., pp.28-60)
尾崎 重義「尖閣諸島の帰属について(下の一)」
(国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』262号, 1972.11., pp.58-67)
尾崎 重義「尖閣諸島の帰属について(下の二)」
(国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』263号, 1972.12., pp.152-173)

塚本 孝「沖縄県尖閣諸島の現況について」
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』374号, 1982.3., pp108-113)

【中国】日本政府の魚釣島等購入に対する全人代外事委員会及び外交部の声明」 追加
(国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』No.253-2, 2012.10.)

【アメリカ】アジアの海洋領有権紛争・主権問題に関する上院公聴会」 追加
(国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』No.253-2, 2012.11.)

中内 康夫「尖閣諸島をめぐる問題と日中関係 -日本の領土編入から今日までの経緯と今後の課題」 追加
参議院事務局企画調整室編集『立法と調査』 2012.11 No.334)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2012pdf/20121101069.pdf

【アメリカ】2013年度国防授権法と尖閣問題」 追加
(国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』No.254-1, 2013.1.)

【アメリカ】中国の海洋紛争に関する下院合同公聴会 《2014/06/27追加
  (国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』No.259-1, 2014.4.)

中国の「海洋強国」化と海洋関係法制―国家海洋局の機能強化を中心に―  《2014/06/27追加
   (国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』No.259, 2014.3.)

小特集「領土と海洋―中国の動向を中心として―」 《2014/06/27追加
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』754号, 2013.11)

■竹島
塚本 孝「竹島領有権問題の経緯 【第3版】」
(国立国会図書館調査及び立法考査局『調査と情報 -ISSUE BRIEF-』No.701, 2011.2.)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/pdf/0701.pdf

塚本 孝「竹島領有権をめぐる日韓両国政府の見解(資料)」
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』 617号,2002.6., pp.49-70)

塚本 孝「サンフランシスコ条約と竹島―米外交文書集より(資料)」
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』389号, 1983.6., pp.51-63)

塚本 孝「平和条約と竹島(再論)」
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』518号, 1994.3., pp.31-56)

塚本 孝「竹島関係旧鳥取藩文書および絵図 (上)」
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』411号, 1985.4., pp.75-90)
塚本 孝「竹島関係旧鳥取藩文書および絵図 (下)」
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』412号, 1985.5., pp.95-105)

高藤 奈央子「竹島問題の発端 ~韓国による竹島占拠の開始時における国会論議を中心に振り返る~」 追加
参議院事務局企画調整室編集『立法と調査』 2011.11 No.322)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2011pdf/20111108065.pdf

【韓国】竹島及び従軍慰安婦に関する2つの対日要求決議」 追加
(国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』No.253-1, 2012.10.)

【韓国】李明博大統領の竹島上陸と韓国政府の国会答弁」 追加
(国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』No.253-1, 2012.10.)

山本 健太郎「竹島をめぐる日韓領土問題の近年の経緯 ―島根県の「竹島の日」制定から李明博韓国大統領の竹島上陸まで― 追加
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』 741号,2012.10., pp.27-49)

【韓国】竹島及び慰安婦問題関連予算の大幅増額」 追加
 (国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』No.254-2, 2013.2.)


■北方領土
塚本 孝「北方領土問題の経緯 【第4版】」
(国立国会図書館調査及び立法考査局『調査と情報 -ISSUE BRIEF-』No.697, 2011.2.)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/pdf/0697.pdf

塚本 孝「米国務省の対日平和条約草案と北方領土問題」
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』482号,1991.3., pp.113-120)

塚本 孝「日本と領土問題―北方領土問題の国際司法裁判所への付託(上)」
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』504号,1993.1., pp.49-81)
塚本 孝「日本と領土問題―北方領土問題の国際司法裁判所への付託(下)」
国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』505号,1993.2., pp.47-66)

松本 英樹「沖縄及び北方問題をめぐる最近の動向と国会論議」 追加
参議院事務局企画調整室編集『立法と調査』 2011.8 No.319)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2011pdf/20110801057.pdf

松井 一彦「沖縄・北方政策の現状と今後の課題」 追加
参議院事務局企画調整室編集『立法と調査』 2013.1 No.336)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2013pdf/20130115160.pdf

沖ノ鳥島
(4月19日)SUMMARY OF RECOMMENDATIONS OF THE COMMISION ON THE LIMITS OF THE CONTINENTAL …/日本の申請に対する大陸棚限界委員会の勧告の要旨(英文)
日本が申請した沖ノ鳥島北方などの大陸棚拡張について、その一部を大陸棚限界委員会が認めた勧告の要旨 《2014/06/28追加
 
 加地 良太「沖ノ鳥島をめぐる諸問題と西太平洋の海洋安全保障 ~中国の海洋進出と国連海洋法条約の解釈を踏まえて~」 追加
 参議院事務局企画調整室編集『立法と調査』 2011.10 No.321)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2011pdf/20111003127.pdf

加地 良太「沖ノ鳥島を基点とする大陸棚限界延長申請への勧告― 国連大陸棚限界委員会の審査手続と中国・韓国の口上書 ― 」 追加
 参議院事務局企画調整室編集『立法と調査』2012.12 No.335)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2012pdf/20121203003.pdf

河村雅美「陸棚限界委員会(CLCS)の勧告と沖ノ鳥島の戦略的重要性」 追加
 http://suikoukai-jp.com/other/kaiyouanpo/meyasu/120823tairikudanagenkai.pdf

池島 大策「国連海洋法条約における島の法的地位と紛争解決手続 ― 沖ノ鳥島をめぐる日中間の事例 ―」 追加
 (『Waseda Global Forum』 7 (『国際教養学部紀要』第7号))
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/33912/1/WasedaGlobalForum_7_Ikeshima1.pdf


【関連文献】
原 貴美恵『サンフランシスコ平和条約の盲点 ―アジア太平洋地域の冷戦と「戦後未解決の諸問題」
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4874408737/

【アメリカ】アジアの海洋領有権紛争・主権問題に関する上院公聴会」 追加
(国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』No.253-2, 2012.11.)
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3948096_po_02530213.pdf?contentNo=1

国連海洋法条約
[大陸棚関連]
http://www.sof.or.jp/tairikudana/05material/agr_jpn.php
[全文]
http://www.houko.com/00/05/H08/006.HTM


2012年4月23日月曜日

「Twitterでは誤情報の拡散も速いが、訂正情報の拡散も同じくらい速い。」というのは本当か?

「Twitterでは誤情報の拡散も速いが、訂正情報の拡散も同じくらい速い。」
という主張がされることがある。
「誤情報だとわかれば、すぐに多くの人がリツイート(RT)するから、誤情報の拡散も速いが訂正情報の拡散も同じくらい速い」というTwitterの特性がプラスに作用するのだそうだ。

だが、それは本当にそうなのだろうか?

この主張は、実は一つの「誤った前提」、即ち、
「元の誤情報の到達先には、同じ速さで必ず訂正情報が伝わる」という思い込み
に基づく主張なのだ。

そしてその前提として、さらに
(a) 誤情報をリツイートしたユーザーは必ず訂正情報もリツイートする。
(b) 誤情報の伝達ルートと訂正情報の伝達ルートは同じ。
(c) 誤情報の伝達時と訂正情報の伝達時とでフォロー/フォロワー関係は変わらない。
と思い込んでいるのだ。

だが、果たして本当にそうなのだろうか?

(a) 誤情報をリツイートしたユーザーは必ず訂正情報もリツイートするとは限らない。

これは「第一報をリツイートした人は続報もフォローアップし続ける」というのが暗黙の前提になっている。しかし、現実には「誤情報が含まれていようがいまいが、第一報を流すことにしか関心がない人が一定程度実在するし、そもそも一塊の情報が複数ツイートに分割された時も全部ではなく一部しかリツイートしない、という人もいるのだ。そういう人に
「誤情報をリツイートしたユーザーは必ず訂正情報もリツイートする」
というのは期待できないのである。

(b) 誤情報の伝達ルートと訂正情報の伝達ルートは必ずしも同じではない。

(a)に加えて、一つの事件に関する情報は複数の伝達ルートからリツイートされてくるものだ。
極端な場合、
・誤情報は常に「自分が信頼している人から妄信的にリツイート」され、
・訂正情報は常に「いつもデマを流してくるやつだと思い込んでいる相手からリツイート」されてくる
ということだった起こりえるのだ。
こういう場合に受け手が、「訂正情報のほうをデマだと決めてかかる」という反応に出た場合にまで「必ず訂正情報が伝わる」と言えるのだろうか?

(c) 誤情報の伝達時と訂正情報の伝達時とでフォロー/フォロワー関係は変化することがある。


また、フォロー/フォロワー関係は変動することが少なくない。
誤情報をリツイートしてきた人を「訂正情報発信までフォローしている保証」はないのだ。
訂正情報を届けてくれる唯一のTwitterユーザとの関係が、
・フォロー/フォロワー関係の終了
・ブロック
・「ミュート機能」などによる特定アカウントの一部または全部のツイートの非表示
・相手のTwitterアカウントの停止・削除
などによって変動していることもよくある話だ。

こういう場合にも「必ず訂正情報が伝わる」と言えるのだろうか?


まあ、そもそも
「Twitterでは誤情報の拡散も速いが、訂正情報の拡散も同じくらい速い。」
ということは具体的に実証はされていないのですが。

2012年2月12日日曜日

TPPに関する政府発表文書

あまりにも有名すぎる基本資料なので既にみなさんご存知だとは思いますが、ここにまとめておきます。

平成23年2月1日付け外務省文書
「TPP交渉の24作業部会において議論されている個別分野について」(PDF; 全18ページ)

平成23年10月付け
内閣官房、内閣府、公正取引委員会、金融庁、総務省、
法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、
農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省
合同発表文書
「TPP協定交渉の分野別状況」(PDF; 全79ページ)

平成24年2月付け外務省文書
「TPP 協定(日本との協議に関する米国政府意見募集の結果概要」(PDF; 全2ページ)

平成24年2月付け外務省文書
「TPP 協定(日本との協議に関する米国政府意見募集の結果概要:主要団体の意見詳細)」(PDF; 全21ページ)




TPP関連参考文献」も併せてご覧ください。

TPPに対する国会議員の態度(参考資料)

「TPP交渉協議への参加表明」を11月12日からのAPEC場で日本政府は行うべきでないとする国会決議の実現に関する呼び掛け


【呼び掛け人 】 
阿部 知子 (社会民主党・市民連合)
石田 祝稔 (公明党)
稲田 朋美 (自由民主党・無所属の会)
小野寺五典 (自由民主党・無所属の会)
城内 実 (国益と国民の生活を守る会)
斎藤 恭紀 (民主党・無所属クラブ)
下地 幹郎 (国民新党・新党日本)
高橋千鶴子 (日本共産党)
田中 康夫 (国民新党・新党日本)
松木 謙公 (無所属)
(五十音順)

呼び掛けへの賛同者名簿

呼び掛けへの不賛同者名簿

2012年1月12日木曜日

暫定メモ: アメリカ合衆国の戦争権限と日米安保条約

【論点】尖閣諸島への武力攻撃に対して「在日米軍」は「共通の危険に対処するように行動する」のか?

(前提)「ヴァンデンバーグ決議」などアメリカ合衆国とその同盟国との間の問題は(本論点考察の上で考慮すべきこととして)ひとまず考慮せず、ここではアメリカ合衆国内部の権限の所在のみを論じる。

1. 否定説(孫崎説)

日米安保条約 第五条に言う「自国の憲法上の規定及び手続」アメリカ合衆国憲法において何を指すかが問題となるが、孫崎享氏は、アメリカ合衆国憲法 第1条 第8節(11)を根拠に「在日米軍」が「共通の危険に対処するように行動する」ことを否定する。

「アメリカ連邦議会が許さないからできない」←アメリカ側の「自国の憲法上の規定及び手続」とはアメリカ合衆国憲法 第1条 第8節(11)

日米安保条約 第五条:各締約国は日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。 前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならな い。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない。

アメリカ合衆国憲法 第1条 第8節:
(連邦議会は、次の権限を有する。)
(11)戦争を宣言し、拿捕及び報復の特許状を発し、陸上及び海上の捕獲に関する規則を定めること。

しかし、果たしてそうなのか?

2. 連邦議会と大統領との間の“米軍の「軍政」と「軍令」の権限分配”(制限説)

アメリカ合衆国憲法は、(a)「軍政」に対する民主的コントロールと、(b)事後的宣戦布告の権限を連邦議会に与えているに過ぎない。

アメリカ合衆国憲法 第1条 第8節:
(連邦議会は、次の権限を有する。)
(11)戦争を宣言し、拿捕及び報復の特許状を発し、陸上及び海上の捕獲に関する規則を定めること。
(12)陸軍を募り維持すること。ただし、そのための歳出は、2年を超える期間であってはならない。
(13)海軍を設け維持すること。
(14)陸海軍の統制及び規律のための規則を定めること。

一方、大統領に対しては、臨機応変な対応が可能な権限を包括的かつ抽象的に委任している。
=連邦議会による民主的コントロールの範囲内での覊束裁量権あり

アメリカ合衆国憲法 第2条 第2節:
(1)大統領は、合衆国の陸軍及び海軍及び合衆国の兵役のため現に招請された各州の民兵の最高司令官である。大統領は、執行部門のそれぞれの主要な職員に対し、それぞれの職の職務に関するいかなる事項についても、書面で意見を求めることができる。大統領は弾劾の場合を除いて、合衆国に対する犯罪について刑の執行停止や恩赦を与える権限を有する。
→否定説ではないが単純な肯定説とも言えない(制限説)。


3. 「1973年戦争権限法(War Powers Resolution, P.L. 95-148)」における権限分配の修正とその実効性

だが、ベトナム戦争の苦い経験から、合衆国憲法 第2条 第2節に認められた覊束裁量権をより制限する法律が何度も作られてきた(ex.「1973年戦争権限法(War Powers Resolution, P.L. 95-148)」)。
しかし、初動に関しては大統領権限であり、議会の権限は基本的に事後的な拡大抑制にとどまっている。
60日以内に作戦が終了するものに関しては、議会が関与できる前に終結している場合もある。

〔まとめ〕

1.肯定説 …「共通の危険に対する行動」を全面的に肯定 ←アメリカ合衆国憲法の規定から無理がある。
※この説は採りえない。

2.否定説 …「アメリカ連邦議会が許さないからできない」アメリカ合衆国憲法 第1条 第8節(11)
※この説はアメリカ合衆国憲法に対する基本的理解を欠き、採用できない。

3.制限説 …連邦議会と大統領との間の権限分配
(a) アメリカ合衆国憲法 第1条と第2条 による権限分配
(b) 戦争権限法による修正(議会による事後的な拡大抑制) ※この説が最も妥当。


[参考文献]
廣瀬 淳子「アメリカ戦争権限法の改革提案」 [PDF]
(『外国の立法』239(2009.3) / 国立国会図書館調査及び立法考査局)

最新の論文こちら

2012年1月6日金曜日

【ネットで読める 米国本土米軍基地問題 関連文献】

ネットで読める 米国本土米軍基地問題 関連文献(PDF) のリストです。

[日本語論文]
(1)「米本土における艦載機の夜間離発着訓練(NLP)をめぐる諸問題」『レファレンス』平成16年8月号)

(2)「米本土における基地機能の移転・再編と地域及び環境への影響」『レファレンス』平成19年10月号)
 
(3)「米国における軍事施設周辺の土地利用対策」『レファレンス』平成20年10月号)

(4)「米本土における艦載機離発着訓練(FCLP)施設設置問題-2008年1月以降の経緯を中心に『レファレンス』平成24年11月号)[追加]

[米軍内規(英語)]

(5)「Air Installations Compatible Use Zones (AICUZ) Program」(MCO 11010.16) [URL update]

(6)「ENCROACHMENT MANAGEMENT PROGRAM」(OPNAVINST 11010.40)

(7)「FACILITIES PROJECTS INSTRUCTION」(OPNAVINST 11010.20G CH-1)

(8)「Facilities Planning and Programming」(MCO P11000.12C CH-1) [URL update]

(9)「Air Installations Compatible Use Zones (AICUZ)」(DoD INSTRUCTION 4165.57)

(10) 「Joint Land Use Study (JLUS) Program」(DoD INSTRUCTION 3030.3)

(11)「GARRISON PROPERTY POLICY MANUAL」 (MCO P10150.1) [追加]




注:「DoD INSTRUCTION」は国防総省、「OPNAVINST」は海軍、「MCO」は海兵隊の文書です。

*      *      *      *      *


(7)と(8)と併せて 
「Host Nation-Funded Construction Programs in the U.S. Pacific Command Area of Responsibility」(DoD Directive 4270.34)
を読むと、いわゆる「在日米軍基地」の問題もよくわかります。