2012年4月23日月曜日

「Twitterでは誤情報の拡散も速いが、訂正情報の拡散も同じくらい速い。」というのは本当か?

「Twitterでは誤情報の拡散も速いが、訂正情報の拡散も同じくらい速い。」
という主張がされることがある。
「誤情報だとわかれば、すぐに多くの人がリツイート(RT)するから、誤情報の拡散も速いが訂正情報の拡散も同じくらい速い」というTwitterの特性がプラスに作用するのだそうだ。

だが、それは本当にそうなのだろうか?

この主張は、実は一つの「誤った前提」、即ち、
「元の誤情報の到達先には、同じ速さで必ず訂正情報が伝わる」という思い込み
に基づく主張なのだ。

そしてその前提として、さらに
(a) 誤情報をリツイートしたユーザーは必ず訂正情報もリツイートする。
(b) 誤情報の伝達ルートと訂正情報の伝達ルートは同じ。
(c) 誤情報の伝達時と訂正情報の伝達時とでフォロー/フォロワー関係は変わらない。
と思い込んでいるのだ。

だが、果たして本当にそうなのだろうか?

(a) 誤情報をリツイートしたユーザーは必ず訂正情報もリツイートするとは限らない。

これは「第一報をリツイートした人は続報もフォローアップし続ける」というのが暗黙の前提になっている。しかし、現実には「誤情報が含まれていようがいまいが、第一報を流すことにしか関心がない人が一定程度実在するし、そもそも一塊の情報が複数ツイートに分割された時も全部ではなく一部しかリツイートしない、という人もいるのだ。そういう人に
「誤情報をリツイートしたユーザーは必ず訂正情報もリツイートする」
というのは期待できないのである。

(b) 誤情報の伝達ルートと訂正情報の伝達ルートは必ずしも同じではない。

(a)に加えて、一つの事件に関する情報は複数の伝達ルートからリツイートされてくるものだ。
極端な場合、
・誤情報は常に「自分が信頼している人から妄信的にリツイート」され、
・訂正情報は常に「いつもデマを流してくるやつだと思い込んでいる相手からリツイート」されてくる
ということだった起こりえるのだ。
こういう場合に受け手が、「訂正情報のほうをデマだと決めてかかる」という反応に出た場合にまで「必ず訂正情報が伝わる」と言えるのだろうか?

(c) 誤情報の伝達時と訂正情報の伝達時とでフォロー/フォロワー関係は変化することがある。


また、フォロー/フォロワー関係は変動することが少なくない。
誤情報をリツイートしてきた人を「訂正情報発信までフォローしている保証」はないのだ。
訂正情報を届けてくれる唯一のTwitterユーザとの関係が、
・フォロー/フォロワー関係の終了
・ブロック
・「ミュート機能」などによる特定アカウントの一部または全部のツイートの非表示
・相手のTwitterアカウントの停止・削除
などによって変動していることもよくある話だ。

こういう場合にも「必ず訂正情報が伝わる」と言えるのだろうか?


まあ、そもそも
「Twitterでは誤情報の拡散も速いが、訂正情報の拡散も同じくらい速い。」
ということは具体的に実証はされていないのですが。