2012年12月31日月曜日

自動車運転に伴う「死傷結果」に対する重罰化に関連して

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このブログ記事の主張は、
平成25年11月20日に可決・成立した
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年十一月二十七日法律第八十六号)
とは趣旨や方法論を異にするものです。
「過失犯」である「自動車運転過失致死事件」に対して「故意犯」の一類型である「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」の適用を求める異常な主張が多くなっています。それには、
悪質な運転者による「自動車運転過失致死罪(刑法211条2項)適用事件」が増加していること

「自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)」の法定刑の上限7年の懲役)と「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」の法定刑の上限15年の懲役)との差が大きく開きすぎていること
とが大きく関係しています。

これらを解消するには、
通常の「自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)」の法定刑と「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」の法定刑との間隙を埋めるよう、 悪質な運転者に対する刑罰を法定する必要があります。

そこで私は、刑法の特別法を制定して
「行政刑罰法規を故意に違反することによって刑法209条から211条までの罪
刑法209条 … 過失傷害罪(30万円以下の罰金又は科料)
刑法210条 … 過失致死罪(50万円以下の罰金)
刑法211条1項 … 業務上過失致死傷罪(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)
刑法211条2項 … 自動車運転過失致死傷罪(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)
を犯した者に対する処断刑を、同種の故意犯の法定刑の上限を超えない範囲で二倍に加重する」
とすることを提案します。

これなら「故意の無免許運転」と「過失による免許不携帯」は区別できます。

具体的には(刑法209条と210条は罰金または科料なのでひとまず置いておくとして)

刑法211条1項 … 業務上過失致死傷罪(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)
刑法211条2項 … 自動車運転過失致死傷罪(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)

の処断刑の上限を決める際の「同種の故意犯」をどう考えるかですが、
業務上過失致死罪および自動車運転過失致死罪を「殺人罪(死刑又は無期若しくは五年以上の懲役)」、
業務上過失致傷罪および自動車運転過失致傷罪を「傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
と(この特別法との関係で)それぞれの過失犯と考えるものとします。

その結果、
道路交通法違反の故意による「自動車運転過失致死傷罪」の上限は「14年以下の懲役若しくは禁錮」
となります。
故意犯類型である「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」との関係では
危険運転致死罪の上限「有期懲役の上限」
危険運転致傷罪の上限「15年の懲役
を超えることはなく、ぎりぎり均衡が保てていると言えます。