2011年5月2日月曜日

みんなあまり「構造」について考えない

再開1つめのテーマに「構造」を選んでみた。

すべての人がというわけではないが、物事を考えるときにその「全体構造」を考えない人が多い。

たとえば、私が Twitter を始めたときによく書いていた話題に「日米地位協定」というのがあるが、Twitter で見かける「日米地位協定」の話題は、普天間基地をはじめとした在沖縄米軍基地のことだったり、「思いやり予算」のことだったり、裁判管轄権のことだったりで、「日米地位協定」の全体構造や法的性格などから考え始めて個別の問題の位置づけに考えを及ぼしたり、他国の駐留米軍地位協定との比較といったアプローチが話題になることはほとんどないのだ。

「日米地位協定」は、正式名称「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」が示すように、

(1) 「日米安全保障条約」に基づく協定であり、
(2) その「日米安全保障条約」第6条に基づく在日米軍基地のための施設・区域を提供する協定であり、
(3) 提供した施設・区域を使用する米軍と米軍人の地位に関する協定

なのである。
この地位協定自体の三重構造をまったく理解していない人が多い。
さらに付け加えるならば、

(4) 地位協定自体が個別の事項に関しては別途の協定の締結を予定している

のであり、俗に言う「思いやり予算」の問題は、費用負担に関する地位協定24条に対する「特別協定」に基づくものなのであるが、これも理解していない人が多い。

また、「日米地位協定」と基地周辺住民との関係の法的構造も理解されていない。
「日米地位協定」それ自体は、日本国と米軍との間の法的関係しか規定しておらず、基地周辺住民との間は形式的には日本国政府との間の法的関係によるのです(一部、米軍と住民との間の直接の関係もあるが、地位協定外の関係である)。
こういった法的な三面関係をまったく理解しない論議ばかりが行われており、詰まるところ、法的関係の無理解は法的解決のアプローチ先の見誤りにつながっているのですが、それもまったく理解されていないのです。

「構造」という今回のテーマからだいぶ「日米地位協定」の話に踏み込んでしまいましたが、私は何事を考えるにも「当該テーマの全体構造をきちんと把握することがまず重要」だと考えています。
このことをみなさんにも理解していただきたいのです。

個別のテーマに関してはまたこのあとで。
今日はここまで。

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