2013年6月7日金曜日

2013年5月25日土曜日

「投機」には興味はないのだが…

ここ最近、法律学の中でも「商法」の、その中でもとりわけ「商事決済」に関連する本ばかりを何冊も買い込んで読み漁っている。
だいたいが、「商取引法」とか「商行為法」とか「決済」とか「手形小切手法」とかいう表題がついた本だ。

関心の中心は、契約時に約束した商品の引渡し(delivery)」代金の支払い(payment および settlement)」の時がずれている契約類型だ。
通常の「商法」の範疇だと、
  • 商品先渡し →代金後払い
  • 代金前渡 →商品後日渡し
となる。
前者の日本における典型が、手形決済による「掛売り」だ。
銀行振込確認後に商品を発送してもらう形での買い物で後者を経験した人も多いだろう。

だが、それ以外の形態もある。
「商取引法」「商行為法」「決済」「手形小切手法」という表題の本に続いて買った本には、
「先物取引」
という表題がついている。
具体的には
  • 「商品先物取引法」
  • 「金融商品取引法」
といった種類の本である。

要するに
  • 契約の時点では手元に商品がなく、したがって「商品の引渡し」はなく、
  • また、契約の時点での「代金(全額)の支払い」もない
という、仕組みを理解しないとなんだかただのギャンブルみたいな謎の取引である。

まあ、私の実際の関心の中心は、
「商品先物取引法」のほうにあって、「金融商品取引法」のほうは「商品先物取引法」が一部制度的に倣っているものがあったりあったり、将来的な取引市場の相互乗り入れを予定した既定があったりしている関係で参照しているといった程度なのだが、こういったキーワードを Twitter でツイートしていると、金融取引、中でも「FX(外国為替証拠金取引)」でちょっと儲けてみようか、というヒトたちに勘違いフォローをされたりして困ります。

そっち(投機)には関心ないのにねえ。

しかし、問題は書籍の出版状況のほうです。
この手のテーマを扱った本は、
儲け話の本 ←「もうかりまっせ」
被害者救済の本 ←「先物取引はギャンブル」
というものばかりで、
  • どういう法制度や取引制度なのか
  • どういう長所・短所がある制度なのか
といったものは極めて少ないのです。

まあ、
「マンガと小説と料理のレシピ本しか読まない」
といった程度の精神の持ち主だらけの社会にはピッタリですけどねwww


【文献リスト】

■商品先物取引法

河内 隆史, 尾崎 安央・著
『商品先物取引法』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4785719850/

米良 周・著
『商品先物取引の手引き』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4496043998/

三次 理加・著
『商品先物市場のしくみ』 (PHPビジネス新書)
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4569776590/

■金融商品取引法

近藤 光男, 吉原 和志, 黒沼 悦郎・著
『金融商品取引法入門〔第3版〕』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4785720522/

黒沼 悦郎・著
『金融商品取引法入門 第5版』 (日経文庫)
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/453211277X/

2013年5月10日金曜日

「商事決済」に関する日本法の法律学基本書

尾崎 安央「商事決済法序説」
『民法理論と企業法制』(早稲田大学21世紀COE叢書―企業社会の変容と法創造)所収
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4535002231/
を読んで「商事決済」に興味を持ったので、「商事決済」に関する日本法の法律学基本書をいろいろ探してみました。

「商事決済」の“payment”や“settlement”の側面に関する日本法の法律学基本書

小塚 荘一郎, 森田 果・著
『支払決済法 ―手形小切手から電子マネーまで』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4785718021/

根田 正樹, 大久保 拓也・編
『支払決済の法としくみ』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4313313818/

「商事決済」の“delivery”の側面に関する記述のある日本法の法律学基本書


江頭 憲治郎・著
『商取引法 第7版』(法律学講座双書)
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4335304587/

畠田 公明・著
『商取引法講義』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4502045209/

2013年2月15日金曜日

アメリカ合衆国の戦争権限 参考文献集

暫定メモ: アメリカ合衆国の戦争権限と日米安保条約」で取り上げた“アメリカ合衆国内部の戦争権限の所在”に関する最近の論文の一覧。



■富井幸雄「アメリカ議会の戦争権限」
法学会雑誌51巻1号、51巻2号、52巻1号、52巻2号、53巻1号(2010年~2012年)

富井幸雄「アメリカ議会の戦争権限(一)」[PDF]
http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/4257/1/20006-51%281%29-001.pdf
『法学会雑誌』 51巻1号 pp.1-44, 2010-07 , 首都大学東京都市教養学部法学系

富井幸雄「アメリカ議会の戦争権限(二)」[PDF]
http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/4268/1/20006-51%282%29-002.pdf
『法学会雑誌』 51巻2号 pp.47-99, 2011-01 , 首都大学東京都市教養学部法学系

富井幸雄「アメリカ議会の戦争権限(三)」[PDF]
http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/4601/1/20006-52%281%29-002.pdf
『法学会雑誌』 52巻1号 pp.23-74, 2011-07, 首都大学東京都市教養学部法学系

富井幸雄「アメリカ議会の戦争権限(四)」[PDF]
http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/4987/1/20006-52%282%29-003.pdf
『法学会雑誌』 52巻2号 pp.63-119, 2012-01, 首都大学東京都市教養学部法学系

富井幸雄「アメリカ議会の戦争権限(五・完)」[PDF] 追加
 http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/5353/1/20006-53%281%29-003.pdf
『法学会雑誌』 53巻1号 pp.79-141, 2012-07, 首都大学東京都市教養学部法学系

■「アメリカ合衆国大統領と憲法 -最高司令官と執行権の長」
『法学会雑誌50巻2号(2010年)

富井幸雄「アメリカ合衆国大統領と憲法 -最高司令官と執行権の長」 [PDF]
http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/3899/1/20006-50%282%29-003.pdf
『法学会雑誌』 50巻2号 pp.127-168, 2010-01, 首都大学東京都市教養学部法学系

■「アメリカ連邦議会の歳出予算統制 - 大統領戦時権限統制」
『茨城大学政経学会雑誌』78号(2008年)

河村弘之「アメリカ連邦議会の歳出予算統制 - 大統領戦時権限統制」[PDF]
http://ir.lib.ibaraki.ac.jp/bitstream/10109/559/1/20080049.pdf
『茨城大学政経学会雑誌』 78号 pp.169-183, 2008-03, 茨城大学政経学会

2012年12月31日月曜日

自動車運転に伴う「死傷結果」に対する重罰化に関連して

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このブログ記事の主張は、
平成25年11月20日に可決・成立した
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年十一月二十七日法律第八十六号)
とは趣旨や方法論を異にするものです。
「過失犯」である「自動車運転過失致死事件」に対して「故意犯」の一類型である「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」の適用を求める異常な主張が多くなっています。それには、
悪質な運転者による「自動車運転過失致死罪(刑法211条2項)適用事件」が増加していること

「自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)」の法定刑の上限7年の懲役)と「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」の法定刑の上限15年の懲役)との差が大きく開きすぎていること
とが大きく関係しています。

これらを解消するには、
通常の「自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)」の法定刑と「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」の法定刑との間隙を埋めるよう、 悪質な運転者に対する刑罰を法定する必要があります。

そこで私は、刑法の特別法を制定して
「行政刑罰法規を故意に違反することによって刑法209条から211条までの罪
刑法209条 … 過失傷害罪(30万円以下の罰金又は科料)
刑法210条 … 過失致死罪(50万円以下の罰金)
刑法211条1項 … 業務上過失致死傷罪(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)
刑法211条2項 … 自動車運転過失致死傷罪(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)
を犯した者に対する処断刑を、同種の故意犯の法定刑の上限を超えない範囲で二倍に加重する」
とすることを提案します。

これなら「故意の無免許運転」と「過失による免許不携帯」は区別できます。

具体的には(刑法209条と210条は罰金または科料なのでひとまず置いておくとして)

刑法211条1項 … 業務上過失致死傷罪(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)
刑法211条2項 … 自動車運転過失致死傷罪(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)

の処断刑の上限を決める際の「同種の故意犯」をどう考えるかですが、
業務上過失致死罪および自動車運転過失致死罪を「殺人罪(死刑又は無期若しくは五年以上の懲役)」、
業務上過失致傷罪および自動車運転過失致傷罪を「傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
と(この特別法との関係で)それぞれの過失犯と考えるものとします。

その結果、
道路交通法違反の故意による「自動車運転過失致死傷罪」の上限は「14年以下の懲役若しくは禁錮」
となります。
故意犯類型である「危険運転致死傷罪(刑法208条の2)」との関係では
危険運転致死罪の上限「有期懲役の上限」
危険運転致傷罪の上限「15年の懲役
を超えることはなく、ぎりぎり均衡が保てていると言えます。